「お風呂を手伝わなきゃいけないけど、どうすればいいか分からない」
「転倒させてしまったらどうしよう…」
初めて入浴介助をするとき、そんな不安を感じながら介助していませんか?
実際、入浴は介護のなかで「最も事故が起きやすい場面」のひとつ。でも、正しい手順と準備さえ知っておけば、ご本人にとっても介助者にとっても安心・安全なお風呂タイムを作ることができます。
この記事では、介護初心者の方に向けて、入浴介助の手順・準備・よくある困りごとへの対処法をやさしく解説します。
この記事を読むと、自宅での入浴介助の方法や留意点と緊急事態になった時の対応について知ることができますよ。
入浴介助が怖い・難しいと感じる理由
まず、入浴介助を「怖い」と感じるのは当然のことです。
「床が濡れていて滑りやすくて怖い…」
「ご本人の体が重くて、支えきれるか不安」
「お湯の温度で体調が悪くなったらどうしよう」
「プライベートな場面に踏み込むのが気まずい」
こうした理由が重なって、「うまくできるか不安」という気持ちが生まれます。まずは「不安を感じるのは正しい感覚」と知っておきましょう。その気持ちがあるからこそ、安全に気をつけることができます。
入浴前の準備(環境・道具・体調確認)
入浴介助の成功は「準備」で9割決まります。焦らず、以下のチェックをしてから始めましょう。
🏠 環境の準備
- 浴室と脱衣所を事前に温めておく(特に冬場は重要)
- 浴室の床に滑り止めマットを敷く
- 浴槽の中にも滑り止めマットを敷く
- シャワーチェアや浴槽台(バスボード)を準備する
- 手すりが使える位置にあるか確認する
🛁 道具の準備
- バスタオル・着替えは脱衣所に広げておく
- ボディソープ・シャンプーはすぐ手が届く場所に
- 洗面器はお湯で満たしておく
- おしりを洗う際など、手袋を準備しておくとなお良い
🩺 体調の確認
入浴前には必ず体調を確認します。
✅ 入浴OKのチェックリスト
- 顔色が悪くないか
- 熱がないか(37.5度以上は入浴を控える)
- 血圧が高すぎないか
- 食事から30分〜1時間以上経っているか
無理に入浴させず、清拭(体を拭く)や足浴に切り替えることも大切な判断です。

はるぼぼ入浴前の準備のイラストを見て準備がしっかりできたら次は入浴介助の手順を見ていきましょう!
入浴介助の手順(脱衣→洗体→浴槽→着衣)
準備が整ったら、以下の順番で進めます。
- 介助者は「一緒に脱ぐよ」と声かけをしてから始める
- 麻痺がある場合は「健側から脱いで、頭、患側の順に脱いでいく」が基本
- バスタオルや大きめのタオルで肌の露出を最小限にする
着るときは患側(麻痺側)から / 脱ぐときは健側から
例:右に麻痺があれば、脱ぐときは左袖から先に脱ぐ
- まず足元からゆっくりお湯をかける(急に体にかけると心臓がびっくりするためNG)
- 手順:足 → 足の付け根 → お腹 → 胸 → 腕 → 頭の順に。お湯をかける順番に注意しましょう。
- ご本人が自分で洗える部分は自分でやってもらう(自立支援の観点から)
- 背中や洗いにくい部分を中心にサポートする
洗体中のシャワーヘッドは必ずホルダーに戻しておきましょう。床に置きっぱなしだと水圧で動いて危険です。
- 浴槽台やバスボードを使って、ゆっくりまたいで入る
- 介助者はご本人の腰〜肩を支え、前のめりにならないよう注意
- 湯温は38〜40度が目安(熱すぎるとヒートショックの原因になる)
- 入浴時間は5〜10分程度にとどめる
- 出るときは「ゆっくりでいいですよ」と声かけしながら
- 立ち上がる際に一気に力をかけず、浴槽の縁に座って両足をしっかりつけてから立つ
- 浴槽から出たら手すりを持ってもらい、シャワーでさっとあがり湯をかける
- 脱衣所に出たらすぐにバスタオルで体を拭き、体を冷やさない
- 着替えは「麻痺側から袖を通して、頭、健側の順に通す」
着るときは患側(麻痺側)から袖を通すのを忘れずに
入浴後は汗をかき、喉も渇きます。コップ一杯のお茶かお水を飲んでもらいましょう。脱水予防にもなります。



最初は手順を覚えるのは大変かもしれませんが、やっていると体が覚えてきますので少しずつやっていきましょう。
腰を痛めないための姿勢と動かし方
介助者が腰を痛めるのは、介護が続かなくなる最大の原因のひとつです。
- 腰を曲げず、膝を曲げて重心を下げる
- ご本人と密着して支える(距離があると腰に負担がかかる)
- 足を肩幅に開いて安定した姿勢をつくる
ご本人と介助者のお腹や太ももをしっかりくっつけて支えると、距離がある時と比べて驚くほど軽く感じます。
ご本人にはシャワーチェアに座ってもらい、介助者も小さな椅子や防水クッションを使って同じ高さで作業すると格段に楽になります。重介護が必要な場合(全身を支える必要があるなど)は、二人で行うか、訪問入浴サービスの利用を検討しましょう。
ヒートショック・転倒を防ぐための注意点
入浴中の事故で特に多いのが「ヒートショック」と「転倒」です。
⚠️ ヒートショックとは?
脱衣所と浴室の温度差が大きいと、血圧が急激に変化して意識を失ったり、心筋梗塞・脳卒中を起こすことがあります。
予防のポイント:
- 浴室を事前に温める(シャワーを出しておくだけでもOK)
- 脱衣所もできるだけ温めておく
- お湯の温度は38〜40度にする
- 食後すぐ・飲酒後は入浴を避ける
- 介助者は常にご本人の近くにいる(目を離さない)
- 床の水分や洗った後の泡はこまめに流しておく
- 「急がなくていいよ」と声かけをして、焦らせない



介護現場でしっかり予防していても、転倒してしまうこともありました。そういう時に困らないように、対応方法も紹介します。
もしも転倒してしまった場合は?
- 落ち着いて声をかけ、意識があるか確認する
- すぐに動かさない(骨折・脱臼があると悪化する恐れあり)
- 意識がない・呼吸が苦しそう・激しい痛みがある場合は迷わず119番
- 痛みのある場所・腫れ・不自然な曲がり・出血を目視で確認
- 毛布やバスタオルをかけて保温する(浴室は体が冷えやすい)
- 緊急時:救急車(119番)を呼ぶ
- 容態が落ち着いている場合:訪問看護師・ケアマネジャー・かかりつけ医に連絡
高齢者の場合、転倒直後は何ともなくても、数時間〜数日後に脳内出血(慢性硬膜下血腫など)や骨折の痛みが出てくるケースがあります。頭を打った場合は48時間は慎重な経過観察が必要です。「大丈夫そうに見えても、ケアマネジャーへの報告は必須」です。


こんなときどうする?
「お風呂に入りたくない」と言われたら
無理に入浴させようとすると関係が悪化し、次回も拒否が続きます。まずは「なぜ嫌なのか」を聞いてみましょう。
| 状況 | 対応のヒント |
|---|---|
| 寒いから嫌 | 先に脱衣所・浴室を温める |
| 疲れてるから | 時間帯を変える |
| 認知症の方 | お気に入りの音楽・好きな入浴剤で誘う |
→ 直接的すぎて作業感を感じてしまいます
→ メリットを伝える
→ せっかくしてくれたから…という気持ちを引き出す
→ 過去の思い出をきっかけにする
→ 役割をお願いして主体的に動いてもらう
どうしても難しい日は、清拭(体拭き)や部分浴(手浴・足浴)で代替するのも正解です。
現場でも、拒否で入浴されない日・足浴だけの日・清拭だけの日など、ご本人の体調やその時の気分に合わせて無理のない範囲で清潔保持を行っているというのが実情です。「毎日入ってもらわないと」と気負わず、週2〜3回入ってもらえたらOKというくらいの気持ちで取り組みましょう。
📖 → 【保存版】家族介護で無理しないための考え方|頑張りすぎないコツをやさしく解説
途中でご本人が疲れてしまったら
「もう出たい」と言われたらすぐに対応。無理に続けず、浴槽から出てもらいましょう。その日は洗体だけでOKです。
無理なときは訪問入浴・デイサービスを活用する
毎回の入浴介助を一人で抱え込む必要はありません。
🚿 訪問入浴介護
自宅に専用の浴槽を持ち込んで入浴させてくれるサービスです。看護師も同行するため、体調に不安がある方にも安心。介護保険で利用できます。
🏠 デイサービス
日中、施設に通って入浴を含むサービスを受けられます。プロのスタッフが対応してくれるので、週に何回かを施設に任せると介助者の負担が大きく減ります。
まとめ
入浴介助は、準備と手順さえ押さえれば初心者でも安全にできます。大切なのは次の3つです。
✅ 入浴介助の3つのポイント
- 入浴前の体調確認と環境づくりを丁寧に
- 声かけをしながら、焦らず進める
- 一人で抱え込まず、プロのサービスを上手に使う
「毎日完璧にやらなければ」と思わなくても大丈夫です。できる範囲で続けることが、長く介護を続けるいちばんのコツです。
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この記事は、社会福祉士・介護福祉士としての15年の介護経験をもとに執筆しています。この記事の介助手順は一般的な手順であり、状況に応じて医療機関や各自治体の専門機関の指示に従ってください。
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仕事の合間や休みの日にでも、大切に読ませていただきます。



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