📅 この記事の情報は2026年4月時点のものです。最新情報は各自治体や厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。
「昨日言ったことをもう忘れているのに、急に怒り出したり、いないはずの人が見えると言い出したり……」
こうした変化に、戸惑っていませんか?
介護を始めたばかりのときは、「これって普通なの?」「自分の対応が悪いの?」と不安になるものです。でもまずお伝えしたいのは、それはあなたのせいではないということ。
この記事では社会福祉士・介護福祉士としての経験を踏まえて「無理をしない介護」という視点で、認知症の種類と特徴をやさしく解説します。「なぜそうなるのか」が分かるだけで、気持ちはぐっと楽になります。
認知症とは?まずは基本をやさしく理解
認知症とは、年齢による自然な物忘れとは違い、生活に支障が出るレベルで記憶や判断力が低下する状態です。
加齢による物忘れとの違い
「最近ちょっと忘れっぽいだけなのか、それとも認知症なのか……」と悩む方は多いです。違いをシンプルに整理するとこうなります。
| 加齢による物忘れ | 認知症 | |
|---|---|---|
| 忘れ方 | 体験の一部を忘れる(例:朝食のメニューを忘れる) | 体験そのものを忘れる(例:朝食を食べたこと自体を忘れる) |
| 思い出し方 | ヒントがあれば思い出せる | 思い出せないことが多い |
| 生活への影響 | 少ない | 支障が出てくる |
「出来事ごと抜けているかどうか」が一つの目安です。
ご飯を食べたばかりなのに「ご飯はまだ?」と聞いてきたり、何回も着替えを繰り返したりといったことが増えてくると認知症の可能性が高いです。
認知症の症状は2種類に分けると理解しやすい
「何度も同じことを聞かれる」「急に怒りっぽくなった」——こうした変化には、実は2つの種類があります。
① 本人の努力ではどうしようもないこと(中核症状)
- 記憶が抜ける
- 判断が難しくなる
- 時間や場所が分からなくなる
これらは脳の変化(病気)によるものです。本人のせいではありません。
② 周りの関わり方で穏やかにできること(BPSD/周辺症状)
- 怒りっぽくなる
- 不安が強くなる
- 落ち着かなくなる
こちらは、関わり方や環境の工夫によって和らげられることがあります。
💡 整理するとこうなります:
脳の変化 → 記憶障害・判断力の低下(中核症状) → 不安・混乱 → 怒り・落ち着かなさ(BPSD)
最初の原因は「脳の変化」ですが、その後の反応は関わり方で和らげる余地があります。「どうしようもない部分」と「工夫できる部分」を分けて考えると、介護はぐっと楽になります。
※ 中核症状とBPSD(周辺症状)それぞれの詳しい内容や具体的な関わり方については、別記事でも解説しています(今後公開予定)。

主な認知症の種類と特徴
同じ認知症でも、種類によって症状はかなり異なります。代表的な4つを見ていきましょう。
アルツハイマー型認知症|もっとも多いタイプ
特徴:ゆっくり進行する。新しいことを覚えるのが苦手。同じ話を繰り返す。
よくある様子:「さっきご飯食べた?」と何度も聞く。物の置き場所を忘れる。
関わり方のポイント:否定せず受け止める。メモやカレンダーで補う。
💡 「また同じことを……」と思っても、本人にとっては初めて聞いている感覚です。
脳血管性認知症|状態にムラがあるタイプ
特徴:脳梗塞や脳出血などが原因。できる日とできない日にムラがある。
※「まだら認知症」と呼ばれることもあります。正式な診断名ではありませんが、状態を表す言葉として現場でもよく使われています。
身体の変化:脳のダメージを受けた場所によって、「片麻痺(手足の動かしにくさ)」「歩行の不安定さ」「飲み込みにくさ(嚥下障害)」などの身体症状を伴うことが多いのも特徴です。歩き方の変化や食べこぼしの増加が、記憶の変化よりも先に家族が気づく「異変のサイン」になることもあります。
よくある様子:昨日はできたのに今日はできない。足を引きずるように歩く。しっかりしている部分と、できない部分が混在する。
関わり方のポイント:「今日はできない日」と割り切る。できる部分を活かしながら、その日の体調や麻痺の状態に合わせてサポートする。杖や手すりなどの福祉用具の活用も検討してみてください。
💡 朝はしっかりしていたのに、夕方は混乱している、という時間帯による差もよくあります。「さっきはできていたのに」と自分を責める必要はありません。
また、脳血管性認知症では急に泣いたり怒ったりする「感情失禁」が現れることもあります。身体が思うように動かないもどかしさが感情の爆発につながることも多く、「怒っているのではなく、つらいんだ」と受け止めてあげることが大切です。
なお、麻痺が伴う場合は転倒のリスクも高まります。レビー小体型認知症の「小刻み歩行」とは異なり、脳血管性では麻痺によるつまずきが原因になりやすいため、環境を整えることも大切なケアのひとつです。
レビー小体型認知症|見え方や体の動きが変わるタイプ
特徴:幻視(実際にはないものが見える)が起こりやすい。体が動きにくくなる(パーキンソン症状)。日によって調子が大きく変わる。
よくある様子:「そこに人がいる」「虫がいる」と言う。転びやすくなる。
関わり方のポイント:幻視を否定しない。転倒を防ぐよう環境を整える。
すぐできる工夫:部屋を明るくする(影が人や虫に見えることがあるため、影を減らすと症状が和らぐことがあります)。床のコードを片付ける。
💡 声かけの例:「虫がいる」と言われたら → 「じゃあ、私が追い払っておくね」
本人には本当にはっきり見えています。否定するより少し世界に寄り添うだけで、安心につながります。
前頭側頭型認知症|行動や性格の変化が目立つタイプ
特徴:性格が変わったように見える。同じ行動を繰り返す。思ったことをそのまま口に出す。
よくある様子:急に怒りっぽくなる。場の空気を読まない発言が増える。
関わり方のポイント:注意や叱責は逆効果になりやすい。別の行動に自然に誘導する。
このタイプは物忘れが少ないため、「性格の問題では?」と感じやすいのですが、これは病気による変化です。万引きや信号無視など、社会的なルールを守れなくなる行動が出て、ご家族が深く傷つくケースもあります。これは「理性や感情のコントロールを担う脳の部分」がダメージを受けているためであり、本人が悪いわけではありません。性格の問題だと思い込まず、早めに専門医へ相談することが、家族自身の心を守る一歩になります。
一目でわかる|認知症の種類比較
| 種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| アルツハイマー型 | 物忘れが中心・ゆっくり進む |
| 脳血管性 | できる・できないにムラがある |
| レビー小体型 | 幻視・体の動きの変化 |
| 前頭側頭型 | 性格や行動の変化が目立つ |
「どうしていいか分からない」と感じたときは
まずはどこに相談すればいい?
お住まいの地域の「地域包括支援センター」へ相談してみてください。
✅ 介護の相談が無料でできる
公的機関なので、相談は基本無料です。
✅ 必要なサービスにつないでくれる
状況に応じて、適切なサービスや専門家を紹介してくれます。
✅ ケアマネジャーの紹介もしてくれる
「何を相談していいか分からない」という状態でも大丈夫です。
→ 地域包括支援センターとは?介護初心者が最初に頼るべき相談窓口をわかりやすく解説
一人で抱え込まないことが大切
💡 「家族だから自分がやらないといけない」「迷惑をかけたくない」——そう思ってしまいがちですが、頼ることも介護の一部です。

まとめ|完璧じゃなくていい、続けられることが大切
認知症は種類によって症状が異なります。でも共通しているのは、「本人のせいではない」ということ。そして、あなたも無理をしなくていいということです。
うまくいかない日があっても、それも介護の一部です。完璧を目指すよりも、「少しでも楽に続けること」を大切にしてください。
もし今、「うちの親、これかもしれない……」と一人で抱えているなら、まずはお住まいの地域包括支援センターの電話番号を調べることから始めてみてください。電話一本かけるだけで、次の一歩が見えてきます。
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